イトヘンラボの定番毛糸「みんなのセーター」。

発売から5年目を迎えた今年、カラーラインナップを一新し、新しい10色に生まれ変わりました。

今回は新色のご紹介とあわせて、この糸と出会った頃のことや、イタリアの製造メーカーから聞いた糸づくりの裏話をお届けしたいと思います。

「みんなのセーター」との出会い

「みんなのセーター」を発売したのは、イトヘンラボを立ち上げて間もない頃のことです。

当時は、オリジナルの毛糸をイタリアのメーカーに発注することが、まだ難しい時期でした。

毛糸を新しく作るには、ある程度まとまった数量を発注する必要があります。立ち上げたばかりの私たちにとって、そのハードルは決して低くありませんでした。

そんなとき、イタリアのメーカーから紹介していただいたのが、現在の「みんなのセーター」です。

欧米ではすでに人気のある糸でしたが、日本ではイトヘンラボの商品として、独自の名前をつけて販売することになりました。

まず惹かれたのは、丸ヨークセーターのデザインのかわいらしさでした。

そして、300gの大きな糸玉から、色柄の入ったセーターが編めるという仕組み。

「これなら、今までセーターを編んだことのない方にも、気軽に挑戦してもらえるかもしれない」

そう思い、発注を決めました。

「みんなのセーター」という名前は、私がつけたものです。

たくさんの方に編んでもらえるセーターになってほしい。

そんな思いを込めて名づけました。

発売当初の「みんなのセーター」。最初は4色からのスタートでした。

それから少しずつカラー展開を広げ、発売5年目の今年、新しい10色へとリニューアルしました。

ヨークの色柄は、どうやって生まれる?

2026年新色のNo.20 レイクブルー

「みんなのセーター」の大きな魅力のひとつが、衿ぐりから広がる美しい色柄です。

糸玉からそのまま編み進めることで、自然とヨークに模様が現れるように作られています。

この模様を作るには、色の組み合わせだけでなく、どの位置で、どのくらいの長さに色を切り替えるかという、細かな設計が必要になります。

これまでもメーカーとは何度もやり取りをしてきましたが、実際にどんな人が、どのように色柄を考えているのか、詳しくお話を聞く機会はありませんでした。

そんな中、今回、製造メーカーであるイタリアの「Laines du Nord(レーヌ・デュ・ノール)」から、リカルドさんとディアナさんがイトヘンラボを訪ねてくださいました。

イタリアのメーカー、Laines du Nordのリカルドさん、ディアナさんとの打ち合わせ。

リカルドさんのお名前は以前から知っていましたが、直接お会いするのは初めて。

お話を伺う中で、これまで知らなかった色づくりの背景が少しずつ見えてきました。

社長自らが考える、セーターの色柄

リカルドさんは、もともと大学で経済学を学び、家業である毛糸メーカーに入られたそうです。

最初から糸のデザインを専門に学んでいたわけではなく、仕事を通して糸づくりについて知識を深めていったとのこと。

そして現在は、「みんなのセーター」の色柄も、ご自身で考えられています。

ベースとなる色に合わせて、どんな色を、どの位置に、どのくらい入れるのか。

完成したセーターの姿をイメージしながら、色の組み合わせを考えていきます。

さらに、考えた色柄を実際にニッターさんに試し編みしてもらい、思い描いた模様になっているかを確認します。

思ったように色が出なければ、また調整して、試し編み。

こうした工程を何度も繰り返しながら、ひとつの色柄を完成させていくのだそうです。

糸のデザインは、糸玉の状態できれいに見えればよいというものではありません。

実際に編んだとき、どんな模様になるのか。完成した作品まで考えながら設計することが大切なのだと、改めて感じました。

何百回もの色の切り替え

今回のお話で、特に印象に残ったのが、色の切り替えの細かさです。

ヨークの模様を作る部分では、何百回もの細かな色の切り替えが行われているそうです。

色を変える位置や長さを細かく考え、それを実際に糸として作り上げていく。

そのためには、色柄を設計する人の感性だけでなく、複雑な切り替えを実現する機械の技術も欠かせません。

普段は完成した糸玉やセーターを見ることがほとんどですが、その背景には、こうした設計と試作、製造の工程があります。

今回、リカルドさんから直接お話を聞いたことで、これまで何となく理解していた糸づくりの工程が、より具体的に見えるようになりました。

今回は初めて、ベースカラーから選びました

これまでの「みんなのセーター」は、メーカーから提案された色の中から、私たちが気に入ったものを選んで発売していました。

ヨークの模様はとても複雑なので、こちらから自由に色を指定するのは難しいと思っていたんです。

ところが今回のリニューアルでは、初めてベースとなる色の候補を提案していただき、その中から私たちが希望する10色を選ぶことができました。

メーカーから届いたスワッチと、今回の色選びに使用したカラーサンプル。

そして、それぞれのベースカラーに合わせたヨークの模様を、メーカーに考えていただきました。

こうして生まれたのが、新しい10色です。

新しい10色は、どれもベースカラーとヨークの色柄の組み合わせが異なり、それぞれ違った表情に仕上がっています。

各カラーの写真や詳しいご紹介は、こちらのブログにまとめています。ぜひお気に入りの色を探してみてください。

編み足し用の「Solid」も新しいカラーに

今回のリニューアルでは、40g巻きの「みんなのセーターSolid」も新しいカラーになりました。

Solidは、セーターの丈や袖を長くしたいときの編み足し用としてはもちろん、小物づくりにも使える毛糸です。

「あみものブック#13」では、Solidを使った小物の編み図もご紹介しています。

セーターを編むだけでなく、同じ糸で小物を楽しんだり、好みのサイズにアレンジしたり。

そんな使い方も広がっていけばうれしいです。

これからも、みんなのセーター

「みんなのセーター」と出会ってから、約5年。

初めてセーターを編む方にも楽しんでもらいたい。そんな思いで名づけたこの糸を、これまでたくさんの方に編んでいただきました。

今回、製造メーカーの方から直接お話を聞き、普段はなかなか見えない糸づくりの工程や、その背景にある工夫を知ることができました。

新しい10色になった「みんなのセーター」。

これからも、初めての一着にも、次の一着にも選んでいただけるような、イトヘンラボの大切な定番商品として、長くお届けしていきたいと思っています。

榊原さん

【榊原】
企画全般を担当。編み物に関しては、前職のメーカー勤務時代から数えると15年以上に。最近は社会人になって読まなくなってしまった読書欲が再燃しています。