2025-07-11

【開発秘話】この夏の新商品。ポンポンペーパーヤーン

こんにちは。暑い日が続いていますね。ここ数年、6月末~7月に入って真夏のような日が続き出すと、「まだセミが鳴いていないのにこんなに暑いなんて…」と違和感を感じてしまうのは昭和生まれの私だけでしょうか。

さて、この夏の新商品として発売したポンポンペーパーヤーン

ワークショップのテーマ作品のがま口

先日もハンズ名古屋さんでワークショップをやらせていただいたのですが、ご参加いただいたお客様から「この糸可愛いですね」とのお声を多数いただき、嬉しく思っております。

ポンポンペーパーヤーン開発裏話

もともとイタリアのメーカーから「引き揃え用」の糸の提案をよくいただいていたのですが、日本では糸を引き揃えて編み物をするという文化があまり無いことや、生産ロットの問題や、輸入経路の問題などでお取り扱いをあきらめていました。

イタリアメーカーから提案のあった引きそろえ用の変わり糸。右上にあるのが「チョウチンモール」。

ただ、個人的に糸を引き揃えて編むことが好きで、特にチョウチンモールという小さなポンポンが付いた糸が可愛いなと思っていまして。

過去には変わり糸を引きそろえて作るバッグキットのお仕事をさせていただいたことも!

このチョウチンモールを引き揃えて商品化したことは過去にもあったのですが、それはアクリルのストレートヤーンと引き揃えたベビー用の糸でした。

ただ、市場でもチョウチンモールをアクリルやウールのストレートヤーンと引き揃えるのはよく見る商品で特に目新しくはありません。

だったら春夏の定番商品であるペーパーヤーンと引き揃えてバッグや帽子にしてみたら可愛いのでは?!

ということで試作を始めました。

糸作りは試行錯誤の連続!

今回のポンポンペーパーヤーンなのですが、発売までは色々と難行しました。

糸作りを始めたのが2年以上前なので、細かい過程はあまり記憶がないのですが(泣)、難しかったのは以下の4つのことだったような記憶があります。

①糸の太さの問題

上がペーパーヤーンで下がポンポンペーパーヤーン

出来れば既存商品であるペーパーヤーンと編み図を兼用できるように、だいたいの太さを合わせたかったのですが、そのペーパーヤーンにチョウチンモールを巻き付けただけではそのぶん太くなってしまいます。

ペーパーヤーンは通常よくある毛糸と違い、大きな一枚の紙を短冊のように細くカットして作ります。

そのため、毛糸のようにどのような太さでも自由に作り出せるわけではないので、希望通りの太さになるまで試作を重ねました。

②チョウチンモールの間隔

チョウチンモールのポンポンが何センチ間隔で入ると、編んだときにちょうど良かどうかも、試作を重ねました。

ポンポンが沢山入り過ぎても可愛くないし、少な過ぎても編んでて楽しくないし…ということでちょうど良い塩梅を模索しました。

③価格の問題

このポンポンペーパーヤーンは、ペーパーヤーンとチョウチンモールを別々に作り、2種類の糸を組み合わせて撚り合わせ、そして染色もベースの色とチョウチンモールのポンポンを別の色に染めなければいけないので、普通のストレートヤーンを作るのに比べて何倍もの手間がかかっています。

そのため、試作の途中で、コストがかなり高くなってしまうことが分かったときは、雑貨用(帽子やバッグ)の糸にこれだけの手間をかけて果たして良いのだろうか?お客様はこれだけの手間をかけた糸を望んでいるのだろうか、と悩みましたが、やっぱりこの可愛い糸を世に送り出したいという気持ちが強くて開発を進めました!

④玉巻ができない?!

商品ページにデメリット表示としても書かせていただいているのですが、このポンポンペーパーヤーンの玉巻は非常に崩れやすくなっています。

もともとのペーパーヤーンも玉巻をするのが難しく、限られた玉巻屋さんでしか引き受けていただけません。

そこにさらにチョウチンモールが巻かれいて、このポンポンが機械に引っ掛かる上に、パラパラと崩れやすい形状の糸です。

一時は玉巻が出来ないことが原因で販売できないかもしれない…と焦りましたが、何とか巻いていただける玉巻屋さんが見つかって、発売の運びとなりました。

たくさんの困難を乗り越えた糸

このように今、思い出せるだけでもたくさんの困難があった糸です。それだけに思い入れもひとしお!

作品もバッグや帽子などたくさん作りましたが、どれもシンプルな編み地にチョウチンモールのポンポンがアクセントになり、とっても可愛く作ることができました!

ポンポンペーパーヤーンを使った作品はあみものブック#20に掲載されています。動画でもポンポンペーパーヤーンで編んだ作品をご紹介していますので、よろしければ是非ご覧になってくださいね。

(キットのご紹介はこちらのブログをどうぞ!)

私もこの糸でショルダーバッグを作って愛用中

私も早速この糸を使って自分のショルダーバッグを編んでみました!

実はこのショルダーバッグは先日のハンズ名古屋さんでのワークショップで使おうと思って編んだ作品。ワークショップ中に貴重品を持ち歩くため、スタッフ皆でおそろいで編みました。

使ってみると思いの他使いやすく、ワークショップが終わった後も毎日ヘビロテしております。軽いのに丈夫、そして荷物がたくさん入るのが良いんですよね…ペーパーヤーンよりもしっかりとした編み地に仕上がり、スマホとお財布を入れても安心感があります。

#1-5ミニショルダーバッグにマチを付けてアレンジしているので、スマホ、お財布、イヤフォン、ハンカチ、鍵を入れてもまだ余裕があるのでめちゃくちゃ使いやすいんです!!(こちらのショルダーバッグの作り方も後日発信予定ですので、お楽しみに!)

編んでも使っても楽しいポンポンペーパーヤーン。私もこの夏にもう1つか2つ編みたいな…と妄想をふくらませております。ぜひ一度お手に取ってみてくださいね!

榊原さん

【榊原】
企画全般を担当。編み物に関しては、前職のメーカー勤務時代から数えると15年以上に。読書と映画鑑賞が趣味だったのが、出産後は外遊び好きに転向。大きな木のある公園探しがライフワーク。


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